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 ロジャーズ声明の真相

日本GAPニューズレター 第57号 1976年1月発行 より

愚かな売名屋の大失敗!

昨年9月15日頃(注:1975年)の国内各新聞に少々不快な短信が掲載されたのをご記憶の方が多いと思う。英国UFO協会の会長と称するケン・ロジャーズなる人物が、アダムスキー掘影の円盤写真は昔、英北部の工場で作られたビン冷却器を写真に撮って円盤だと偽ったことがわかった。アダムスキーに脱帽する云々という記事である。思慮深い人ならこの声明こそア氏の名を抹殺せんとする悪質な陰謀か、またはア氏の円盤写真からヒントを得て作られた冷却器をこれみよがしに攻撃の材料にしたと考えるだろう。そして実は後者であったという証拠が出たのである!

英国の名高いUFO専門誌「フライング・ソーサー・レビュー」誌1945年3−4合併号の社説にSad Storyと題して、この件の真相が暴露されている。

▲着陸した火星の円盤。 撮影セドリツク・アリンガム

「―故ジョージ・アダムスキーの主張をくつがえそうとする間の抜けた試み―UFOキチガイによる無謀かつ無思慮な売名行為によってこうむった典型的な損害云々―」 に始まる社説によると、9月20日にレビュー誌幹部のゴードン・クレイトン氏が公表した話で、実はBBCラジオが放送した「ニューズ・マガジン」番組の出演者の中に冷却器技術者のフランク・ニコルソンと、いう人がいて、この人が1959年(アダムスキーの写頁が公表されてから6年後)にア氏の円盤写貞からヒントを得て問題のビン冷却器を設計したことを告白"したというのである!

しかもニコルソン氏は、番組のなかでその事実を疑われたために特許番号を提示した。こうしてロジャーズの声明こそインチキであったことが判明したが、ついでにこの人物の性格まで暴露されてしまったからたまらない。「少々バカをみる羽目におちいった」と泣き言を言う始末で、結局、とるに足りぬ売名屋であったことがわかったのである。

社説は言う。1975年9月17日のブリストル・イーヴニング・ニューズ紙にロジャーズの勇ましい声明が掲載されたが、それによると、ウォーミンスター(UFO観測のメッカ的場所)のUFO事件に関する二万語にのぼる論文”を書いて、それをブリストル大学へ提出しようとしているロジャーズは、「学者は自分の書いた論文に基づいて十分な研究をしてもらいたい」と述べているもののこの論文"たるや五百件のウォーミンスターUFO目撃例をたった40語ずつの報告にまとめたものだという。こんなものを大学で通用する論文だと思ってい る感覚からして正常ではない。

更に昨年8月15日付のハムステッド紙とハイゲート・エクスプレス紙に「UFOは緑色の人間を見守る」と題した記事が出ており、その中に予言者に扮したチャールトン・ヘストンみたいな格好の人物が片手の指を空に向けて、Tシャツの前面には円の中に五角形の星が描かれているが、この人物がロジャーズであり、緑の人間(宇宙人?)を見つける方法を示しているのだという。

とにかくロジャーズのビン冷却器声明は英国の各新聞に大きく掲載され、更にこれが世界中の新聞に報道されたためにア氏は全く不利になり、世にいうUFOなるものすべてがインチキ視されかねない状態になった。しかしさすがは英国である。9月23日にはデーリー・ミラー紙が「あの名高い空飛ぶ円盤写東は全然インチキではなかった」という訂正記事を掲げたし、同月22日のブリストル・イーヴニング・ポスト紙は「徹底的な大打撃」と書いて反省した。だがそれ以外の新聞は沈黙したままである。もちろん日本の各新聞はこの真相をまだ知らないだろう。知っても訂正記事を出すことはしないだろう。 恐るべきはマスコミの影響力である。 ユニバース出版社にもロジャーズの声明に関して照会が殺到したし、GAPの会員のなかにはアダムスキーにあいそをつかして退会した人もあった。

「故ジョージ・アダムスキーと彼の写真に対して人が信ずるかどうかはこの場合の論点ではない。不愉快なのは、過度のUFOキチガイによる狂気じみたブレーキのきかない売名行為が、UFO目撃報告のまじめな研究をやろうとする人々に対して、ひどい害を与えたという事実である。ロジャーズの行為の直接的な結果として、あらゆるUFO目撃報告はインチキであると思い込んだ数百万の人がいるだろうし、間接的な結果としては、その取消し記事を見たか聞いた人々は、次のように結論づけたことだろう。各種のUFO研究グループの会長たちはバカの集まり"だと。

UFO問題に対する風潮が向上しつつあり、UFOの目撃者はすすんで事件を語るように勇気づけられているこの時期にあって、これは一休何たることか/」とフライング・ソーサー・レビュー誌の社説は怒りを爆発させ、二十五歳のケン・ロジャーズなる同国人を暗にバカ者呼ばわりして痛烈な批判をあびせている。

まことに残念なことだったが、ロジャーズ声明を掲載した全世界の新聞が訂正記事を出さぬ限り、この打撃のキズは容易に癒えぬだろう。

しかし悲観する必要はない。アダムスキー型UFOは今もなお世界のどこかに出現し続けているし、地上の愚劣な騒動とは無関係にスペース・プログラムは整然と続行されているだろう。ブラザーズは宇宙の法則や真理を全く考えようとしない大部分の地球人よりも、少数ながらも宇宙的なフィーリングを持つ 特殊な人々"の活動のみに注目し、これをひそかに援助して、激動の時代にそなえていることだろう。

(終わり)

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