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新アダムスキー全集

 ├ 写 真
中央アート出版社
TEL : 03-3561-7017
E-mail :info@chuoart.co.jp
 <巻頭言> 真 実

NewsLetter No.66 より

常に本当のことを知りたいものだ。誤魔化しや欺きなしに―。

かねてから米ソの金星ロケットによる探索結果として、金星の表面温度が数百度の高温のために人間の住めるような環境ではないかのごとき情報や噂が流布されており、そのためアダムスキーの説を欺瞞とする風潮があって、我々の活動も阻止されたかの観を呈していた。

大衆が大国政府の声明を鵜呑みにする傾向は今に始まったことではない。巷間によく知られている例としては、第二次大戦中に日本国内に流された、でたらめきわまりない大本営発表″なるものがあり、これによって国民は太平洋戦争後半における大敗に次ぐ大敗をすべて勝利と確信し、更に婦人の竹槍部隊が全国的に組織され、軍事教練が実施されていた。戦闘帽にモンペという姿の婦人たちが、銃のかわりに竹槍を手にして寺院の境内で、在郷軍人の号令下に突撃訓練をやっている光景をニタニタ笑いながら見物していた一青年の記憶はまだ薄れない。「アメリカでは男が大量に戦死して少数となったため、女子学生が戦闘機を操縦して日本空軍を相手に壮絶な空中戦を演じている」という情報を耳にしたこの青年にとって、原始的な竹槍が腹の底からバカバカしく思えたのである。

だが竹槍を嘲った自由主義者の青年も軍部にだまされていた。実際には米女子学生が空中戦に参加した事実はなく、一部の娘子軍が飛行訓練を受けていたという程度にすぎなかったのである。

ことほど左様に当時は彼我入り乱れてデマや虚報による情報戦が展開した。特に軍部の発表は絶対に真実だと思い込まされた日本国民は、完全に一種の催眠術にかけられていたと言えるだろう。

大衆は盲目である。これは現在も変わらない。政府の言明を正しいと信じ込ませることはきわめて容易である。権力者の声明を歓呼して迎えながら、あとになって苦い思いをした例は枚挙にいとまがない。一体に政界とは百鬼夜行の世界であって、おおやけに真実を述べる政治家は皆無といって過言ではない。最近出た「月刊ペン」誌二月号の「福田退陣に示された教訓」と題する記事を見ると、昨年の政変の内幕がよくわかる。アメリカその他の国も例外でないことはウオーターゲート事件でも察知できる。

なぜウソが罷り通るのか。要約すれば、地球人はテレパシックな感知力を持たぬからである。したがって知識情報に頼るしかなく、必然、心の推理力のみを働かす。しかし心は全能ではない。信・不信の両極端間を揺れる振り子みたいなもので、主として外界からの影響に左右されるのである。Aがこうだと言えば、ああそうかと信じ、Bが違うと主張すれば、なるほどと思う。内奥に宿る宇宙の意識″から真実の啓示があっても、それに耳を傾けないで、常にフラフラした状態にあるのが心である。

こうした大衆に為政者が事実を語っても無意味だろう。むしろ真相を隠蔽しておくほうが賢明かもしれない。なぜなら人間には未知の事柄に対して恐怖しやすいという傾向もあるからだ。

いま仮に米政府が金星に関する真相を突如公開したとする。金星にはすばらしい文明が存在し、金星人は精神的に地球人をはるかに凌駕するほどの偉大な発達をとげていると。

どのような反応が出るだろうか。結果は判然としている。世界中の大衆がこの声明好大喝采し、金星を模範とすべく物心両面で一大革命が生じるかというに、逆に大恐慌が発生して収拾のつかぬことになるだろう。なぜなら大衆は恐怖するからであり、声明を認めたとしても価値観に大転換が生じるからである。しかしその前に、米政府は欺瞞工作を展開したとして敵側はこれを激しく非難し、その混乱に乗じて自国を有利に導こうとする大国も出現するだろう。

アメリカが金星に関する真相を公開しない理由の一つに、金星では貨幣制度のない物資の平等分配による理想社会が存在するという点にあると思われる。これは共産主義国の絶好の付け目であって、これにより米国はイデオロギー政策で大失敗を招くことになる。これを米首脳部やトップクラスの科学者が恐れていることは明白である。逆にソ連が金星の実状を発表してもアメリカは猛烈に攻撃するだろう。共産主義者の宣伝に乗せられるなと。そこで両大国とも金星の表面温度を数百度と称して大衆の眼をそらさせておこうとするのである。

世界の現状からみればこれは妥当な方策だとも言える。ちょうど戦争中の大本営発表〃で国民がだまされながらも、一方では強固な団結力を保持したのと同様である。

とにかく近隣の惑星に関する真相が公表されるのは遠い先のことだろう。人為的な大動乱の発生を極力防止して、人間の精神が発達する方向に足を進めない限り、真実は隠蔽され続けるだろうが、そのほうが良いのかもしれない。

人間は意外に弱く、脆くて、信用しかねる存在だが、厳密に言えばこの場合の人間とは人間の 心″と解すべきである。大自然とともに生きる動植物に比較して、人間の心ほどいい加減なものはない。思考力というすばらしい道具を与えられながら、それに振り回される結果となった。そして一般における人間研究は精神の分野で退廃してしまった。

 しかし悲観は禁物である。少数ながらもわれらの同志により、意識と心との関係について着実な探究と実践が行なわれており、宇宙に対して開眼しつつある。 でたらめな情報に惑わされることなく、自己のテレパシックな感受力の開発に研鎖している、このすばらしい人々の努力はいつか結実するだろう。

狭義に言えば、こうした努力は個人の良きカルマの形成であり、一般大衆の知らぬ偉大な惑星への転生の契機となるものだ。したがって我々の活動は主として対個人的なものだとも言えるのである。

とにかく個人の覚醒が重要なのだ。

(久)

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