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  ホワイトサンズUFO搭乗事件 第15話 ダニエル・フライ

「私は円盤に乗った」より 久保田八郎訳

ホワイト・ハウスの上を飛んだり、その庭に着陸したりしたら、空中からやってくる危険から政府の要人を守るために作られたいくつかの厳重な法律を間接的に犯すことになるんだ。


合法的に地球人に接近する方法は全くない

実際問題として、合法的に地球人に接近する方法は全くないんだ。君たちの空中をいくつかの法律を犯かさずに飛ぶことすら不可能なんだ。放送局でラジオによって通信することも、我々の通信装置も地球人に使用を許されていないので彼らが我々と通信することもできないんだ。

本当の問題は人々が地球外の生命や知性の可能性さえも認めないという事実にあるんだ。結果として、彼らが否定し続けているような人類が到着したときのための法律的準備を何もしていないんだ。

私が地球上に住むときがやってくるのは明らかだ、私はその数々の法律を犯すことになるだろう。我々はこの事実を深く遺憾に思うがそれを避ける方法もないんだ。我々がもっと残念なのは君が少なくとも彼らのメンバーの一人としてそれを犯すのを手伝うということなんだ。君がそれを知っているばかりでなく、いくつかの場合には、君が関与しないでは犯し得ないこともある。

▲ジョージア州のUFO。
▲ジョージア州のUFO。1973年9月1日の夜、ジョージア州の新聞発行人チェスター・タタム氏が撮影したUFO。同じ夜に数名の人もこの物体を目撃している。

もし私が必要があって地球上を旅するならば私はパスポートを持っていなければならない。パスポー-トを得るためには、私は生まれた時と場所を証明しなければならない。実際には私は地球外のものだから、出生証明やパスポートをもらう方法は合法的にはないんだが、私はそれを持っていなければならない。君の国のどこかに私がここにいなければならない必要性を理解して、自分の危険を承知で私を援助してくれることができる登録吏を見つける必要があるんだ。

我々の精神分折家はここ3ヶ月ばかりその問題で忙しいんだ。精神的な性質が要求に合っている官吏をやっと最近見つけたんだ。我々は君が彼に会えるようにアレンジする。そして君は彼と知り合いになって、この交渉ができるところまでもっていってほしい。

君が"石頭"と言う連中は心を証明する専門家の迷げ口上でもって、しばしば思いもよらず残っている興味深い発見をするものだ。私の出生証明に必要な援助をしてくれる適当な登録吏を探している間に、君の国の"防衛"関係の会社に席を置きたいと願っているソビエト連邦の市民のためににせの出生証明書を用意しファイルしている二人の人間を発見したんだ。個人的な要求のために愛国心も感ぜず、目的を正当化する可能性もなくこの違法行為をやっているので、大した困難もなくこの二人のうちの一人から証明書を買うこどができるだろうが、そこには常に個人の目的のために法律をやぶる習慣を作る人間にとって、受け入れ難いほど高い危険があるんだ。

地球人の中で容易に動けて、気づかれないために、行われる手続きを注意深く解析しなければならない。最も高い可能性のある状態を達成するためのゴールは単純なものだ。たとえば人は非常に裕福だったり、非常に貧乏だったりもできない。前者はうらやみをかい、後者は哀れみをかうし、どちらも注意をひくことになる。

私は職業をもたなければならないし、その職業はお金がもらえて、人々に知られ、受け入れられている必要があるが、自分でできるもので宣伝や広告の不要なものでなければならない。理想的な職業としては、国際貿易関係の代理店などだと思う。そのような立ち場は生計を立てることができて、必要のあるときはいつでも他の国を訪問するという口実になるんだ。すべての国々は親交の有無に関係なく何かを買ったり売ったりしたいと思っているし、そのような売買相手を観迎してくれるので君たちの政府のほとんどと政治を抜きにした接触ができるんだ。

地球の普通の職業人はかなりのお金を持っており、銀行などに貯蓄している。私は平均的な職業人でなければならないので、その程度のお金が必要なんだ。

地球の貨幣システムのほとんどは金の価値に関係してきめられているようだ。そこで私は君に数キログラムの金を送る。君はそれを君の国の通貨に替えて、君が適当と思う銀行に私の名前で口座を開いてほしいんだ」

初めて私は話をさえぎる気になった。「金ではないんだ」と私は言った。「金には非常に多くの法律的規制があり、売りに出すときにはその出所を証明できなければならないんだ。もし、君が手に持てる程度の白金のインゴットでも持っていたらうまくいくんだがね。白金の需要は供給を上回っているんだ。売るのも困難でないし、現在の価値は金の数倍になっているんだ」

「いいよ」とアランが答えた。

「白金にするよ。でも、白金の方が価値があるなんて考えは実に奇妙だよ。過去数百世代の間に、宇宙船の建設のためのいろいろな金属の要求は、完全に住めなくなった惑星をニッケル鉄芯の材料にするために掘り返してきたほどに大きくなってきたんだ。惑星の中心部近くには地表で発見される以上にかなり大きな比率で重金属が存在しているんだ。

白金は腐食環境にさらされる表面に張りつけるにはすばらしい物質だ。我々の宇宙船のほとんどに張りつけられているし、他の用途でも使用されているんだ。しかし、その価値は非常に沢山使用されている銅より少し高いくらいでしかない。

第16話へ続く

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